ヴィンテージ家具屋の『家具にまつわる母との思い出』


こんにちは。
イギリス人店長が選ぶ■英国ヴィンテージ家具&アンティークの専門店■
ブリティッシュビンテージプラスのmisakiです。

 

今日は昔話をすこし・・・


 

私の母は、私と妹が小学生になって勉強机が必要になったとき、
学習机を買ってくれませんでした。

みんなが学習机を買ってもらっている時に
学習机を買ってくれませんでした。

 

代わりにわが家にやってきたのは、

 

真っ白で大きな天板に、赤い取っ手がアクセントになった引き出し。
同じく赤くてクルクル回る鉄製の椅子がセットになっていました。
3つ下の妹もお揃いでした。

キャラクターもついていなくて、 備え付けの電灯もない私のつくえ。
子ども心ながらに、皆みたいな『学習机』が羨ましかったことを覚えています。

 

でも年齢を重ねるにつれ、シンプルで使い勝手が良く
皆と違う個性的なデスクは、私の子供部屋で自慢の一台になっていました。

 

 

その後も、何気なくずっと愛用していたデスク。

受験勉強も共にしてきたそのデスクが、
1980年代のIKEA製品だったと知ったのは、それからずっと後のことです。

今でこそ誰でも知っているイケアですが、
当時は名古屋のデパートの片隅でひっそりと代理店営業していたそう。

そんな時代に母は、私たちの机をスウェーデンから取り寄せてくれていたのです。
すごい先見の明!!

 

昔のIKEA家具は、素材や構造も今よりずっと上質でした。

飽きがこないシンプルで使いやすいデザインだから
30年以上たった今でも家具倉庫のオフィスでしっかり現役。
妹の机の方は、実家で母のミシン台として活躍しています。

 

『学習机』それだけのことではありますが、
想いを込めて選ばれたものには語り継がれる価値がある、そんな風に思います。

 

そして、母が私たちに与えてくれた『良質なものに触れる経験』

一つひとつの出来事はハッキリ覚えていなくても
そんな日々の積み重ねが今の私を形作り

30年以上を経た今、
ヴィンテージ家具屋という仕事を選んでいるのかもしれない。

オフィスの片隅に置かれた『私の机』を眺めながら
過去の点と点が線になってつながっていくような
不思議な気持ちになりました。