ネイサンNATHANに関するあれこれ
ネイサンNATHAN 苦境の歴史
ネイサン社は、1916年にロシア出身のバーネット・ネイサンによって設立され、ロンドンのハックニーロード沿いにある小さな工房で家具作りを始めました。
創業当時、イギリスでは戦時中の混乱や経済不況の影響が大きく、高級家具の需要は限られていました。
そのため、ネイサン社も弾薬箱や木製テントペグの製造で生計を立てる日々が続きました。
このような厳しい状況下で、多くの家具メーカーが苦境に立たされる時代でした。
その後、20世紀半ばのイギリスでは、若い世代を中心に北欧デザインの人気が高まり、伝統的なクラシック家具の需要が減少しました。
このトレンドの変化に適応できず、ネイサン社も苦境に陥ります。
しかし、1952年にバーネット・ネイサンの息子であるジェロイドとクライブが事業に加わったことで転機が訪れました。
兄弟はデザインの重要性を強調し、ダイニング家具の改良に取り組むことで新しい方向性を見出しました。
その結果、ネイサン社は伝統的なクラシック家具からモダンなスタイルへとシフト。
1954年にはニューヨークの家具展覧会で「トラー コレクション」を発表し、その斬新なデザインが注目を集めました。
一発当てましたね。
その後も、スカンジナビアデザインを取り入れるために現地で研究を重ね、1963年には新シリーズ「シタデル」を発表しました。
研究熱心なのは、職人ゆえでしょうかね。
1960年代後半には円形デザインを特徴とするサイドボード、1970年代には多彩な組み合わせが可能なチークコレクションを展開し、ブランドの代名詞となりました。
ネイサンNATHANの全盛期であります。
こうした革新により、ネイサン社は他の家具メーカーとの差別化を図り、ジープランやA.H.マッキントッシュと並ぶイギリスの代表的な家具ブランドとしての地位を確立しました。
1980年代に入ると、海外からの安価な家具との競争が激化し、ネイサン社は再び厳しい局面に直面します。
1981年には、イギリスの家具メーカーであるパーカーノール社の傘下に入りましたが、代表的なチークコレクションはその後も継承され、多くの人々に愛され続けています。
チークコレクションですが、裏にパーカーノールのシールがあるものも見られます。
でも、43年前ですからね。
私も、1981年生まれ。
ネイサンNATHANのロゴ変遷
1960年代~1970年代前半
1960年代から1970年代初頭にかけて、ネイサンNATHANの家具には特徴的なドラクエのスライム型のロゴマークが使用されていました。
このロゴは水色のスライム型デザインで、金属製のタグとして作られ、釘で取り付けられているのが特徴です。
「ネイサン クオリティ(Nathan Quality)」と刻印されたこのタグは、当時のネイサン家具の高い品質表しています。
意気込みとでも言いましょうか。
これがネイサンNATHANの品質なんだ!みたいな。
1960年代中頃になると、このスライム型デザインは金属製タグからシールタイプに変更されました。
なんでみんなシールにしたんですかね?
ジープランG-PLANはゴールドスタンプからシールになっているし。
絶対、金属製やゴールドスタンプのほうがかっこいいのに。
このシール型ロゴは当時のネイサン家具の中でも最も広く使用されており、デザインや品質がさらに向上したこの時期の家具は、ネイサンの全盛期と言えるでしょう。
なんだか可愛らしいですよね。
1970年代中頃~1980年
1970年代中頃から1980年にかけて、ネイサンNATHANのロゴはよりシンプルなデザインへと変化しました。
この時期のロゴは黒地に金文字で「Nathan The Master Craftsman」と記載されており、シールタイプとして多くの家具に貼られています。
クオリティからマスタークラフツマン!とさらに強めの主張になっています。
また、同じ時期に白地に青文字のシールも使用されており、どちらも主にチーク材を使用したコレクションの家具に貼られていることが特徴です。
この年代のネイサン家具は製造からの年数が比較的浅いため、コンディションが良いものが多く、中古市場でも人気があります。
The Master Craftsmanと自ら言えるぐらいに、私もなりたい!
ネイサンのシリーズだよ!
1940年代
Compton Collection(コンプトンシリーズ)
伝統的なクラシック家具とは一線を画し、当時のイギリスで最先端のデザインを提案したシリーズです。
レトロな雰囲気を醸し出しながらも個性的なフォルムを持ち、現代で言うところのミッドセンチュリーデザインに分類されます。
ミッドセンチュリーデザイン取り入れるの早い!
さすが ネイサンNATHAN!
この時期、イギリスいえ、世界的にスカンジナビアデザイン(=北欧スタイル)が流行し始めており、ネイサンは伝統的な英国家具のスタイルを刷新し、新しいデザインへと挑戦していました。
1940年代から1950年代前半にかけて製造されたため、現在では非常に希少価値の高いシリーズです。
1954年
Tola Collection(トラーシリーズ)
1954年に発表されたこのシリーズは、ニューヨークの家具展覧会で高い評価を受け、ネイサンブランドを世界的に有名にしました。
黒い塗装とブラウンの杢目のコントラストが際立つデザインで、脚部に黒を配したスタイルが特徴です。
トーラはトーラ材です。
このデザインはジープラン(G-PLAN)のトーラ&ブラックシリーズ(BBシリーズ)に似ているため混同されがちですが、記録によればネイサンの方が先行していたようです。
ジープランG-PLANのトーラアンドブラックは1958年とされています。
ジープランG-PLAN、ネイサンNATHANをパクったということになります。
この辺の先んじているのがネイサンNATHANでセンスの高さを感じます。
かなりマニアックな方で、このネイサンNATHANのトーラシリーズを徐々に買われている方もおります。
1963年
Citadel Collection(シタデルシリーズ)
ネイサンが「スカンジナビアデザイン by ネイサン」を掲げ、本格的に北欧デザインを採用したシリーズは、極限まで装飾を省いたシンプルなスタイルであります。
取っ手部分も無駄を削ぎ落としたデザインです。
無駄をそぎ落とすと、かえって職人技が見えてくるということもあります。
見せたくない部分を装飾で誤魔化すみたいなことができなくなります。
その堅実で丁寧な作りからはイギリスの職人技が感じられ、家具としての完成度が非常に高い逸品となっています。
さすがネイサンNATHAN!
1960年代
Corinthian Collection(コリントンシリーズ)
直線的でスタイリッシュなデザインが特徴的で、脚部も装飾を抑えたシンプルな形状になっています。
しかし、取っ手部分にはさりげない工夫が施されており、彫り込まれたローズウッドがアクセントとして用いられています。
職人魂が取っ手に込められております。
本体部分のチーク材とのコントラストが絶妙で、玄人好みのデザインと言えるでしょう。
いいね!ネイサンNATHAN!
1960年代
Camelot Collection(キャメロットシリーズ)
当時のライフスタイルに合わせた「ザ・スカンジナビアデザイン」とも言えるシリーズですが、細部にはネイサンの技術力の高さが見て取れます。
手に馴染むよう丸みを帯びた削り出しの取っ手や、美しいチーク材の杢目は、「チーク材のスペシャリスト」としてのネイサンの名声を裏付けています。
こういった細部の作りこみ。
だれも分からないような小さな違い。
それを試行錯誤して積み重ねた経験値。
これがのちのサークルサイドボードにつながっていくのであります。
1960年代
サークルズサイドボード!
英国ヴィンテージサイドボードの銘品!
ネイサンのためにデザイナーのパトリック・リー(Patrick Lee)が手掛けたサークルズサイドボードは、独創的なデザインで近年人気が急上昇しています。
扉部分の円形モチーフが印象的で、ヴィンテージ家具の世界では「ネイサンと言えばこのサイドボード」とまで称されるほどです。
大胆で美しいデザインが際立つ一方、スクエアデザインを基調としたスクエアサイドボードも対照的な魅力を放っています。
さすが、ネイサンNATHAN!
1970年代
Classic Collection(チークコレクション)
ネイサンNATHANの代名詞とも言えるのがチークコレクションです。
このシリーズでは扉にクロスバンティング(十字様式)を採用しており、英国伝統のジャコビアン様式を取り入れたユニークなデザインが特徴です。
少し、北欧デザインからは離れる印象です。
この時期、多くの英国家具ブランドが、北欧スタイルからの脱却を試みています。
その中でも、他のブランドにはないネイサンNATHANらしい個性が光ります。
また、このシリーズは70種類以上のアイテムが展開されており、ユニット式家具として自由に組み合わせられる点も人気を集めました。
必要な分を必要な時に、少しずつ買い足していくライフスタイルです。
これは、ジープランG-PLANにも似たものがあります。
ジープランG-PLANのPLANとは計画的に買っていく、みたいなコンセプトも含まれていますので。
パクリ返しましたね。
この独自の商品展開が、他ブランドとの差別化を図る鍵となりました。
あっぱれ!ネイサンNATHAN!